【日本農業の真実】2
昨日に続けて、第2章の要約に入る。
第2章 食料自給率で読み解く日本の食と農
食料自給率=国内生産量/消費量
食料自給率が高ければ万事OKなのか?
という疑問に対しては、バングラデシュと日本の穀物自給率の比較による検討がなされている。
2007年のバングラデシュの穀物自給率は98%、対して日本は28%である。
しかし、バングラデシュの食糧消費量は世界的にも最低の水準である。
このことから、食料自給率の高低の単純な比較はできないといえる。
次に、分母である消費量が等しければ、自給率で食糧事情の良し悪しを比較できるのか?ということについて視点を移す。
が、その前に自給率の計算方法について説明。
・供給熱量(カロリー)ベース
・生産額ベース
・重量ベース
カロリーベースが使われているのは日本と台湾、韓国くらいで、他は生産額ベースが基本。
日本は、生産額ベースだと自給率は7割ほどあるが、カロリーベースだと4割と低くなる。
まずは、生産額ベースの自給率が高くなるカラクリについて2つのことを述べる。
ひとつは、供給熱量は低い野菜の国内生産が活発なことである。
集約型農業に力を入れた結果である。
ふたつめは、畜産生産においての飼料の計算方式の違いである。
生産額ベースだと、生産額の「外国産飼料の費用/生産にかかった全ての費用(労賃や機械設備償却費、飼料費など)」の部分が外国産としてカウントされる。
カロリーベースだと、熱量の「国内産飼料/外国産飼料」の部分が外国産としてカウントされる。
よって、畜産物の自給率はカロリーベースでは低く、生産額ベースでは高くなる傾向がある。
野菜も畜産物も、品質の高さで評価を得ている国産品は生産額ベースの自給率アップに貢献している。しかし、カロリーベースではその評価は反映されない。むう。
次に、カロリーベースでの自給率が低い原因について述べる。
カロリーベースの自給率を上げるには、穀物生産を活発にする必要がある。
しかし、土地利用型農業である水田畑作(特に都府県の水田作)は、農業者の高齢化により急速に持続性を失っている。
この状況から、カロリーベースでの食料自給率の上昇は厳しいといえる。
このように二つの指標で自給率を比べてきたが、
カロリーベース…土地利用型農業
生産額ベース…集約型農業
の生産力の表れであることがわかる。
データからは水田畑作経営の退廃が心配される一方で、施設園芸や畜産における高付加価値生産物の生産には将来性があると思う。
二つの自給率の乖離は日本農業の二面性をよく表しているといえる。
以上。